娘夫婦からは、好きなものを選んでと「お小遣い」を、息子夫婦からは、呆け防止のためだと「脳トレゲーム」をプレゼントしてもらった。母が逝ってから間もないので、祝い事はなしにしたかったが、子供たちの好意に甘えることにした。
今年は、全員のスケジュールが合わず、娘家族と息子家族に、それぞれ別々に祝ってもらった。孫たちとの顔合わせは、母の死の痛みを幾分かは薄めてくれた。孫たちと顔を寄せ合ってのロウソク消しは、自分が今幸せであることをかみ締めるのに十分なものであった。これで、体調さえ良ければ申し分ないのであるが……。
体調が悪いということで、私は5月の末からタクシー乗務を休んでいた。
だから、母の死はこの休職中に迎えてしまったことになる。「腰椎変形症」とも言えるこの症状に対しては、薬餌だけでは解決できない。それで、腰への負担を軽くするためのダイエット、変形した腰椎を支えるための筋トレを同時に行うことになった。焦らずに、少しずつの改善を目指してである。
昨年取り組めなかったダイエットも、毎日のカロリー計算をしながらの本格的のものとなった。もちろん妻の協力なしではできないことなので、夫婦しての共同作業として取り組んでいる。パソコンに独自のカロリー計算書をインプットしたことで、最近ではその計算もスムーズにできるようになり、頭を痛めることもなくなってきた。
取り組んでから一月たった今、私たち夫婦は、それぞれ約5kgのダイエットに成功した。単に食事量を減らすことだけでなく、リハビリを兼ねた筋トレを一体とさせたことが功を奏したようだ。担当医の指導もあって
決して無理はしていない。だから、痩せたといっても、衰えたという感じはお互いに見られない。少し締まった感じになってきたのだ。
ところがである、肝心の腰痛の方はどうかと言うと、改善は見られるものの、終日の乗務に耐えられるまでには回復してはいない。焦らずに、今の取り組みを継続させるしかないということなのだ。この一月あまりは、休職中であったから取り組めたようなものだ。更なる改善を目指すには、休職期間を延長させてもらうしかない、ということになる。
私の今の健康状態、業界に復帰することによる今後の展望、64歳という年齢、余命と生き方等について真剣に考えた場合、休職を延長させることに、その意味合いがあるのかどうかは悩ましい課題であった。……で、悩んだ末に出した結果は、辞職してタクシー業界から身を引くということであった。中途半端に身をおくことは、事故の元になってしまいそうで怖くなったなったことも事実だ。14年間お世話になった業界からのリタイヤには、正直考え深いものがある。事業に失敗した後だっただけに、助けられた想いが強いからだ。本当にお世話になりました…である。本当に………。