10日ほど前には、子ダヌキがピョンコピョンコと車を案内するかのように走るので、「こらこら、危ないよ。早くどいて、どいてくれなちゃぶつかっちゃうよ。」と、窓を開けて声をだしながら運転した。善福寺川公園と五日市街道が交差するあたりである。街道から少し入った杉並区成田西の住宅街で、やはり深夜のことであった。子ダヌキが、ふりかえりながら走るさまは、本当に可愛いものである。帰宅してから妻に話すと、「猫か犬を見間違えたんじゃないの?」と素っ気なくあしらわれてしまった。あれは間違いなく子ダヌキなの、絶対にタヌキだったの!……ここまでは7月の話
8月5日に、小2の孫娘『花音』を連れて、井の頭恩賜公園に行ってきた。阿佐ヶ谷の七夕祭りを見に行ったついでに立ち寄ったのである。ボートに乗りたいというので、安全を考えて、スワン型の足こぎボートにした。池の上は、そよ風が吹いていてとても気持ちがよかった、と言いたいところであるが、何とも言えない独特な臭いには閉口した。池の水が、腐っているのである。釣堀で嗅がされる、練り餌の臭いと水の腐った臭いとが混じりあったような、あの臭いである。恩賜公園というのであれば、もう少し、池の浄化に心して欲しいと思う。せっかくの孫娘とのデートが、台無しになるところであった。それに、臭いに閉口して早めに上がったので、せっかくの水上景観を楽しめなかったのは残念である。
公園に併設されている、井の頭自然文化園にも行ってきた。小動物園を兼ねた遊園地といったところで、未就学児あたりに向いているようである。孫娘はそれなりに喜んでいたが、私は暑さに辟易して、日陰を探して歩いていた。小動物園の一画に、アライグマやタヌキ、キツネのコーナーがあった。暑さのせいかそれとも夜行性であるためか、いずれの動物も元気がなく片隅に寄り添っていた。本土狸と表示されていたタヌキたちも、やはりひっそりと寄り添っていた。
私は、タクシー乗務中に出会ったあの『タヌ公夫婦』や『子ダヌキ』を想いだしていた。あの時の姿には、愛嬌や微笑ましさが感じられたのに、ここでは何の感慨も得られなかった。杉並のタヌキたちには生き生きとした躍動感を感じたのに、ここでは虚脱感のような気だるいものしか感じられなかった。単に暑さのせいだけではなかったと思う。この違いは、理屈ではなく生き抜いているものと、生かされているものとの違いを知らされた、と言うことではなかろうか。そして、彼らの生き抜くたくましさや必死さが、私に愛嬌や微笑ましさを感じさせ、その出会いを喜ばしい出来事と感じさせてくれたのだろう。……と思う。
……暑さのせいで、考え過ぎかな?……ともかく、「杉並のタヌキがんばれ!」……である。
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